「ブラック・ミラー」は1話完結型の近未来ドラマシリーズで、どのエピソードも現代社会やテクノロジーへの鋭い皮肉が特徴です。
今回はシーズン7の第2話、「ベット・ノワール」の感想です。
タイトルの「ベット・ノワール」とは、フランス語で「目の敵にする存在」や「強い憎しみや恐れを抱く対象」という意味」。もうこの時点で、ただならぬ物語の気配がしますよね。
あらすじ(ネタバレ控えめ)
物語の主人公は、会社勤めの女性マリア。ある日、彼女の職場に、高校時代の同級生ヴェリティが中途採用で入社します。
特別仲が良かったわけでもなく、むしろ記憶の片隅にいる程度の存在だったヴェリティ。けれど、ふたりはお互いに顔を見て「知ってる」とすぐに気づきます。
ヴェリティは高校時代、ちょっと変わった子として扱われていたそうです。頭が良すぎて浮いていたり、パソコンに異常に詳しかったり、先生との噂まであったとか…。そんな彼女がなぜ今、ここに?
奇妙な出来事の連続
職場ではマリアがリーダー的なポジションにいて、ヴェリティに業務の指示を出していました。ところが、ヴェリティがミスをしたのに、なぜか責任はマリアに。
「え、指示したメールちゃんと出したはずなのに…」
確認してみると、そのメールの内容が書き換えられていたのです。
さらに、防犯カメラの映像まで改ざんされていて、本当はヴェリティがやったことが、マリアがやったことになっている。どう考えてもおかしい。でも、誰も信じてくれない。
じつは、高校時代にマリアが流したある噂が原因で、ヴェリティは人生を狂わされたらしい。そして今、彼女はその「復讐」をしているとしか思えない。
現実を操る力、それは量子コンピューター?
物語が後半に入ると、驚きの事実が明かされます。
ヴェリティはなんと、量子コンピューターを使って現実を改ざんしているのです。
つまり、彼女はマルチバースを操ることができる。
たとえば、マリアが「今日は黄色の服を着ていた」と言っても、ヴェリティが「赤い服だったよね」と言えば、服の色が赤に変わってしまう。
これはもう、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称エブエブ)や、ドラえもんの「もしもBOX」にも似た感覚。
もしも現実を書き換えられたらという、究極の妄想が現実になってしまう恐怖です。
感想 スケールが急に宇宙レベルになる、ブラック・ミラーらしさ全開
正直、前半はわりと地味な職場ドラマに見えたんです。
人間関係のすれ違いや、過去の因縁がテーマかな?と思っていたら…まさか後半で、こんなとてつもない展開になるとは!
いつの間にかスケールが量子やマルチバースにまで膨れ上がり、「えっ、そういう話だったの!?」とびっくりしました。