映画『新幹線大爆破』感想レビュー|時速100kmを下回れば爆発!令和のパニック列車

新幹線大爆破

1975年の名作『新幹線大爆破』をベースに、舞台を現代に移してリブートされた話題作『新幹線大爆破』を観ました。

数時間という限られた時間の中で、止まれない列車が東京を目指して突っ走る。この「シンプルなのに緊張感バツグン」の展開がすごく面白かったです。

あらすじ

物語の舞台は東北新幹線はやぶさ60号〉。新青森を出発したその直後、JRの指令所に脅迫電話が入ります。

「列車に爆弾を仕掛けた。時速100kmを下回れば爆発する」

爆弾の解除条件はなんと1000億円。スピードを落とせないまま、列車は東京へと走り続けます。

指令所では笠置(斎藤工)を中心に、東京までの運行ルートを死守するべく奔走。現場の保守員や整備士と連携しながら、一寸の狂いも許されないダイヤ調整を行います。

一方、列車内では車掌の高市(草彅剛)や若手の藤井(細田佳央太)、そして運転士の松本(のん)が乗客をなだめつつ、手がかりを探していきます。

車内には、スキャンダル中の議員(尾野真千子)、承認欲求強めなYouTuber(要潤)、修学旅行中の高校生たちなど、クセ強めの乗客が勢揃い。
SNSでの情報拡散や、ライブ配信によって混乱はさらに拡大していきます。

 


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私の感想

全体的に、テンポが良くて楽しめる作品でした。物語の時間軸がほぼリアルタイムで進んでいくため、スピード感と緊張感が途切れず、最後まで一気に引き込まれました。特に、止まれない新幹線というシンプルな設定がうまく生かされていて、「先が読めそうで読めない」展開がほどよいスリルを生んでいました。

久しぶりに「のん」さん(旧・能年玲奈)を見ましたが、演技力についてはややブランクを感じる部分もありました。ただ、彼女ならではの独特な雰囲気と存在感はやっぱり光っていて、これからもっといろんな作品で活躍してほしいなと感じました。

草彅剛さんがメインビジュアルに大きく出ていたので、もっと主役っぽい立ち位置かと思っていたのですが、実際には彼一人が引っ張るというより、登場人物それぞれがしっかりと存在感を持っていて、いわゆる「群像劇」になっていたのが好印象でした。

作品内では実際のJR東日本や新幹線車両名が使われていて、フィクションでありながらもリアル感があり、余計に引き込まれました。乗客がスマホYouTube配信をしたり、SNSで情報が拡散されたりと、現代ならではの描写も盛り込まれていて、「今っぽさ」がしっかり伝わってきます。

物語の構成としては、犯人が中盤で明らかになるので、ラストに向けての意外性という点では少し物足りなさも感じましたが、それでも最後までテンションを保って観られる作品でした。

個人的には、観終わったあとに1975年のオリジナル『新幹線大爆破』も観てみたくなりました。リメイクとしてだけでなく、現代版のエンタメ作品としても、十分に完成度の高い一本だったと思います。