映画「スノーピアサー」レビュー|あらすじ・感想・ドラマ版との違い

映画「スノーピアサー」あらすじ

2031年地球温暖化を食い止めるため散布された化学薬品CW-7の影響で、地球は一面雪と氷に覆われ、極寒の世界と化した。ほとんどの生物は死に絶え、人類は滅亡の危機に瀕する。
生き残った人々は、永久機関によって走り続ける列車「スノーピアサー」に乗り込み、生存を続けていた。しかし、列車内部では富裕層が前方車両を支配し、最後尾に押し込まれた貧困層は奴隷のような扱いを受けていた。
そんな中、最下層の青年カーティスは、仲間と共に反乱を起こし、自由を求めて先頭車両を目指す――。

映画「スノーピアサー」作品情報

映画「スノーピアサー」のネタバレ感想

ドラマ版を観てから映画版を視聴

私はNetflixオリジナルのドラマ版を先に観てから、映画版を視聴しました。設定は同じですが、映画は2時間に収めるため、とにかく最後尾から先頭へ突き進むアクション性が強い印象です。テンポは早いですが、そのぶん説明不足に感じる部分もありました。

黒いプロテインバーの衝撃

ドラマ版でも出てきた黒いプロテインバーの正体が、映画版ではより鮮烈に描かれています。貧困層が口にしていた食糧が何でできているのかが明かされる場面は、本作のテーマである「格差社会の残酷さ」を象徴していました。

怒涛のラストと疑問点

クライマックスでは爆発によって主要人物が命を落とす展開になりますが、「本当に爆発させる必要があったのか?」と疑問が残りました。
最終的に生き残った二人のその後はどうなるのか。生存の希望を感じさせるラストでもあり、余韻を残す結末でした。

ドラマ版との比較

ドラマ版は群像劇として人物描写を掘り下げているのに対し、映画版はスピード感を重視したストーリー展開になっています。
映画だけ観ると説明不足に感じるかもしれませんが、ドラマ版と併せて観ることで、世界観や設定がより深く理解できると思います。両方を見比べるのがおすすめです。

海外での評価

映画「スノーピアサー」は世界的に高い評価を受けており、Rotten Tomatoesの批評家スコアは94%、観客スコアも72%と高水準を記録しています。
特に「格差社会を象徴する寓話性」「独創的なビジュアル」「重厚なテーマ性」が称賛され、一方で「説明不足で駆け足」という指摘もありました。
アクション映画でありながら社会風刺の要素が強い点が、ポン・ジュノ作品らしさだと言えるでしょう。

まとめ

映画版「スノーピアサー」は、短い時間で強烈なメッセージを放つ作品でした。
設定や世界観をじっくり楽しみたい人にはドラマ版、濃密で寓話的な衝撃を味わいたい人には映画版、と住み分けができると思います。
どちらも格差社会や人間の欲望を鋭く描いており、セットで観ることで一層楽しめるおすすめの作品です。