映画「レッド・ファミリー」(韓国・2013年)レビュー

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「レッド・ファミリー」あらすじ

韓国の片隅で暮らす、夫婦・娘・祖父の四人家族。一見すると平凡で幸せそうに見える彼らですが、実は北朝鮮から送り込まれたスパイの偽装家族でした。
妻役のベク・スンへ(班長)は祖国のために冷酷な任務を遂行し続けています。しかし隣に住む、喧嘩ばかりの騒がしい普通の一家と交流するうちに、自分たちにはない“本当の家族の温かさ”を羨むようになり、次第に心を動かされていきます。
スパイとしての使命と、人間としての感情。その狭間で揺れる彼らの行く末は――。

映画賞受賞歴

監督・脚本について

イ・ジュヒョン監督

1977年生まれ。短編アニメーションやドキュメンタリー作品を多数制作し、海外映画祭に招待され注目を集めました。本作で長編映画デビューを果たし、いきなり東京国際映画祭の観客賞を受賞。才能を大きく期待された新鋭監督です。
その後の活動は限定的で、2020年時点では新作情報は多くありませんが、本作での演出力は高く評価されています。

キム・ギドク(脚本・製作)

1960年生まれ。『鰐~ワニ~』(1996年)で監督デビュー。暴力性や衝撃的な描写で韓国内では物議を醸しつつも、海外映画祭では高い評価を受け、熱狂的なファンを獲得した異色の監督です。
代表作には『悪い男』『春夏秋冬そして春』『サマリア』『うつせみ』『アリラン』『嘆きのピエタ』などがあります。

キャスト

キム・ユミ(ベク・スンへ役/妻・班長

1980年生まれ。ツツジ班のリーダーであり家族の妻役を演じる。冷徹な一面と人間らしい感情の揺れを見事に表現しました。
出演作:『ボイス』『人形霊』『愛の傷』『リターン』
(個人的には日本の女優・中山美穂さんに似ていると感じました)

チョン・ウ(キム・ジェホン役/夫)

1981年生まれ。映画『風』(2009)で大鐘賞新人男優賞を受賞。本作では「夫役」としてスパイ任務に翻弄される姿を演じています。
ドラマ『応答せよ1994』でも知られる俳優。

ソン・ビョンホ(チョ・ミョンシク役/祖父)

1962年生まれ。韓国を代表する名バイプレイヤー。映画・舞台・TVと幅広く活躍し、圧倒的な存在感を放ちます。
出演作:『パイラン』『オアシス』『大統領の理髪師』『光州5・18』など多数。

パク・ソヨン(オ・ミンジ役/娘)

1997年生まれ。まだ若手ながら重要な役どころを好演。日本の女優・真野恵里菜さんに似ているという声も。
出演作:『愛のタリオ』『風の便りに聞きましたけど』

キム・ビョンオク(金物屋主人役/ツツジ班の上司)

1960年生まれ。映画『オールドボーイ』のハン警護室長役で有名。今作でも威圧感ある上司役を演じています。

ネタバレ感想

表向きはコミカルな日常劇のようでいて、中盤以降はシリアスさが際立ちます。外では“仲良し家族”を演じる彼らが、家の中では軍隊の上下関係で呼び合うギャップが面白い。
「祖国のために一般市民を殺せるのか?」という問いかけは観る者の心を突き刺し、自分ならどうするだろうと考えさせられました。
特に金物屋の主人(上司)と近所の女性とのやり取りは緊迫感があり、本作の名シーンだと思います。

評価

★★★★★★★ 7点/10点満点

こんな人におすすめ

  • 『愛の不時着』が好きだった人
  • 南北問題や現代史に興味がある人
  • リアルなスパイ映画を観たい人

まとめ

『レッド・ファミリー』は、笑いとシリアスさが交錯する異色のスパイ映画です。
最終的には切なく胸に残る物語であり、南北問題を背景にした“人間ドラマ”として強いメッセージを放っています。
韓国映画の奥深さを感じたい方にはぜひおすすめの一本です。