TVドラマ『終りに見た街』「原作」山田太一「脚本」宮藤官九郎 感想

2024年9月21日、テレビ朝日開局65周年記念ドラマプレミアム『終りに見た街』を鑑賞しました。CMでタイムトラベル作品と知り、興味を持ったためです。

山田太一さんの原作小説を基にした本作は、今回で3回目の映像化とのこと。1982年のドラマでは細川俊之さん、2005年には中井貴一さん、今回の2024年版では大泉洋さんがその役を担っています。

脚本は宮藤官九郎さんが手がけ、現代の時代に合わせた設定で作られています。

2024年10月5日までならTVerで観れます。

TVドラマ『終りに見た街』はこんな話


www.youtube.com

主人公の大泉洋演じる脚本家が、東京大空襲を題材にしたドラマの脚本執筆のため、資料に没頭する日々を送っていました。二子玉川に住む彼の家は、ある朝、深い森の中にポツンとたたずんでいました。彼は、認知症の母、妻、二人の子供たちとともに、昭和19年にタイムスリップしてしまったのです。

そこに、亡き父の戦友の甥である堤真一とその息子もまた、タイムスリップしてきます。彼らは、終戦まで生き残るため、力を合わせて協力していくことを決意します。

主人公は、脚本の資料や母の古い日記から、大空襲の時期や場所を事前に知っていました。彼は、多くの人々の犠牲を少しでも減らそうと、3月10日に大空襲が起きることを噂で広めたり、ビラを配ったりして奔走します。果たして、彼ら家族と、そして街の人々の運命はいかに――。

TVドラマ『終りに見た街』感想(ネタバレ注意)

画像TV朝日ホームページより引用

タイムスリップという設定自体はとても面白く、引き込まれました。ただ、細かい点で気になる部分もありました。例えば、主人公たちが当時の社会に溶け込むために戸籍を偽装する場面ですが、その過程が少しあっさりしすぎており、もう少し丁寧に描かれていれば、よりリアリティを感じられたのではないかと思います。

特に印象に残ったのは、子供たちが国民学校全体主義に洗脳された様子を見せたシーンです。戦争を批判する親に対して、子供たちが逆に「もっとお国のために働け!」と主張する姿には、強い衝撃を受けました。

物語の最後、大泉洋は空襲の爆発に巻き込まれ、気がつくと片手を失って倒れていました。周りを見渡すと、現代の東京が破壊されており、スマホからはシェルターから配信される声が聞こえてきます。これは現代で核戦争が起きたことを示唆しているのでしょう。その後、母親の子供時代の姿と初恋の男性と思われる姿を見ます。タイムスリップは夢だったのか、それとも歴史が大きく変わってしまったのか……。この余韻のある終わり方は、視聴者によっては、様々な考察がでそうです。

過去のドラマも見てみたいなと思いました。