「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」評判では良いと聞いていましたが、どんな内容かはまったくわからず観ました、タイトルから連想すると若い子とおじさんの恋物語なのかなと思いましたが、そんな浅いものではなく、等身大の人生ドラマだと思いました。
「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」こんな話
タイトルにもある「おじさん」の名前はパク・ドンフンで、彼は大企業の部長を務めています。タイトルにもある「私」の名前はイ・ジアンで、彼女は派遣社員です。
この会社の社長は、ドンフンの大学の後輩です。ドンフンの妻も大学時代のサークル仲間であり、社長と不倫関係にあります。ドンフンは社長と敵対する役員たちの陰謀に巻き込まれます。一方、ジアンは介護が必要な祖母を養っており、借金も抱えているため、お金が必要です。
ジアンは社長の不倫と陰謀を知り、脅迫してお金を手に入れることにします。彼女はまた、お金のために陰謀に加担します。社長はドンフンの妻と不倫しているため、彼はドンフンを辞めさせたいと思っており、また次の役員候補でもあるため、彼を失脚させたいと考えています。
ジアンはドンフンの携帯に盗聴器を仕掛け、常に彼の行動を監視しています。最初は社長側のスパイでしたが、ドンフンの優しさに触れることで心境が変化していきます。
このドラマは、ドンフンとジアンを中心に、周囲の仲間や家族などの人々の人生を描いていきます。
「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」の感想
45歳のおじさんと、20代前半の女性が、どんな恋をするのかと思ったのですが、キスするとかそういうのじゃなくて、人間として惹かれあっているという感じですかね。だから1回だけハグするだけです。ジアンは不幸な生い立ち、ドンフンは家族の問題など生きづらさが似ていてお互いが惹かれあった感じです。
ドンフンは3人兄弟なんですが、50歳くらいの兄は、事業に失敗して奥さんとは別居して実家にいます。弟は映画監督でしたが、挫折して実家にいます。兄弟2人で清掃業を始めます。家族の唯一の誇りが企業に勤めるドンフンでした。兄弟が失敗すると、自分のことのように落ち込みますし、良いことがあると喜びます。
ほぼ毎日3人兄妹で幼馴染の女性が営む居酒屋で飲んでいます。兄弟の奥さんたちがドン引きするぐらい仲が良いです。私がそれが羨ましく感じました。
居酒屋に兄弟の他に、町に住む仲間たちが集まるのですが、みんな良い人で仲が良い。
しかし毎日飲みに行って良くお金があるなと思いました。
みんな決して人生が上手く行っていません、そこがものすごくリアルというか共感できました。トレンディドラマのようなキラキラした部分はありません。
主人公を演じた俳優イ・ソンギュンさん（映画『パラサイト』に出演しています）は、昨年に自死してしまいました。このドラマの主人公ドンフンとまじめな性格が、本人そのものだったのではないかと想像してしまいました。本当に素晴らしい演技の俳優さんでとても残念です。
ドンフンの弟役の俳優ソン・セビョクのセリフで「北野武が言った言葉がある」とか「誰も知らない」という映画の話が出てきます。日本の映画にリスペクトがあるのかなと思い、日本人として嬉しかったです。その「誰も知らない」の是枝裕和監督が、「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」にハマったという話を聞きました。
是枝裕和監督の映画「ベイビー・ブローカー」のキャスティングに、このドラマの主人公ジアン役の「IU」さんとドンフンの弟役の「ソン・セビョク」さんが出演しているんですよね。
このつながりは興味深いですね。この映画が見たいと思っています。
このドラマの主人公ジアンを演じる「IU（アイユー）」さんの本名はイ・ジウンさんと言います。
なんと、彼女はシンガーソングライターなんですよ。日本人でいうと年齢的には「あいみょん」とか「YUI」とかが、本気で俳優さんやっているという感じです。
めちゃくちゃ演技うまいです。「IU」さんの出演作品も追っていきたいと思います。
本当に良いドラマでした。こういう「人生ドラマ」をもっと観たいなと思いました。
