映画『ターミネーター ニュー・フェイト』感想レビュー|「2」の正統続編として蘇った未来の警告

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2019年公開の映画『ターミネーター ニュー・フェイト』。これは1991年の傑作『ターミネーター2』の正式な続編として制作された一本です。「3」以降のシリーズを別時間軸としてリセットし、あの伝説の終わりから再び物語が動き出します。

 


ネタバレなしのあらすじ

物語は『ターミネーター2』の後、ある衝撃的な事件から始まります。
それから年月が流れ、舞台はメキシコへ。自動車工場で働く女性ダニー・ラモスが、新たなターミネーター「Rev-9」に命を狙われます。

ダニーを守るために未来から送り込まれたのは、強化兵士グレース。そしてあのサラ・コナーも、ターミネーター狩りを続けていた一匹狼として再登場します。

新たな脅威と、かつての敵との再会。彼女たちはなぜ戦うのか?物語はかつてないスケールとスピード感で展開していきます。


ネタバレありのストーリー解説

■ 物語のはじまり

物語は、『ターミネーター2』でスカイネットを壊滅させた直後の出来事から始まります。サラとジョンが休息を取る海辺のリゾートで、突如現れたT-800によってジョンが射殺されるという衝撃的な事件が起こります。

■ 新たな敵、Rev-9と守る者グレース

20年後。メキシコシティで暮らす女性・ダニーは、未来のAI「リージョン」によって送り込まれた新型ターミネーター「Rev-9」に命を狙われます。
彼女を守るのは、人間でありながら身体を強化された兵士グレース。Rev-9は液体金属と骨格に分離して行動できる超強敵で、2人の逃亡劇が始まります。

■ サラ・コナーの再登場と共闘

戦闘の最中、長年ターミネーターを狩り続けてきたサラ・コナーが登場。3人は共闘しながら、Rev-9から逃げることになります。
やがてグレースは、未来のリーダーはジョンではなく、ダニーであると明かします。人類の希望は、別の人物へと受け継がれていたのです。

■ T-800「カール」との再会

サラは、ターミネーター出現の座標を送っていた人物が、かつてジョンを殺したT-800(現在はカールと名乗る)であると知ります。カールはジョンを殺した後、目的を失い、家庭を持ち、罪を償うように生きていました。

■ クライマックス 最後の戦い

ダニーたちは、Rev-9を止めるために軍の協力を得てEMP装置を手に入れようとしますが、戦闘の中で破壊されてしまいます。
最終決戦では、グレースが命と引き換えに自分の動力コアを託し、カールとサラが奮戦。最後は、カールがRev-9を道連れに爆破し、ようやく勝利を収めます。

■ エンディング

未来のリーダー・ダニーは、生き残りを誓い、サラとともに次の戦いに備えて歩み出します。


映画『ターミネーター ニュー・フェイト』感想

ターミネーター2」までしか観ていなかった自分にとって、今回の「ニュー・フェイト」はちょうどいい続編でした。ごちゃごちゃした設定にとらわれず、素直に楽しめました。

ターミネーターといえば、やっぱりリンダ・ハミルトンですよね。現在68歳ですが、映画公開時(2019年)には60代前半。それでもガッチリとした体格と鋭い目つきで、あのサラ・コナーは健在でした。顔のシワはそれなりに目立ちましたが、むしろ年を重ねた戦士としての説得力がありました。

もちろん、アーノルド・シュワルツェネッガーも登場します。今では77歳。撮影時もすでに70代だったはずですが、相変わらずの威圧感と存在感。冒頭に登場する若い頃の姿は、別の俳優にCGを重ねたようです。

サラの息子ジョン・コナー役だったエドワード・ファーロングも少しだけ登場しますが、こちらも完全にCG。30年前の姿が再現されていて、懐かしさと共にちょっと切ない気持ちにもなりました。彼もいろいろあったようですが、俳優業は続けているようです。

物語としては、「2」の構成をなぞる部分も多いですが、ガンアクションは迫力満点。テンポもよく、観ていて退屈しませんでした。

それにしても、2025年現在、生成AIが話題になっている中で、この作品が描く「AIの暴走」はまさに現実と地続きのテーマ。もしかすると、ただのアクション映画ではなく、近い未来への警鐘でもあるのかもしれません。

エンディングも余韻を残す形で、まだまだ続きが作れそうな感じ。別の視点や時間軸から新しいターミネーターが描かれても面白いかもしれません。今回をきっかけに、観ていなかった他のシリーズにも手を伸ばしてみたくなりました。